地下の国へ行った弟 6
屋久島の民話、「地下の国へ行った弟」その6です。
川をぶじに渡った弟は大蛇の皮をぬごうとしましたがなかなかぬけません。
そこで、
「えいっ」
と力をいれたら、さらりとぬけました。
それからどんどん歩いて行きました。
そのうち夕暮れになりました。
墓場の近くを通ると、たくさんの人たちが集まっていましたが、弟を見て、みんなが、
「あっ」
と口ぐちに叫びました。
「うわあ、モーエ(幽霊)じゃ。弟のモーエが出たァ。」
人びとは驚きあわてました。
それもそのはず、そのとき、人びとは弟の一年忌の供養をするところでした。
下の国の一日は上の国の一年にあたっていたのです。
弟も驚いてしまいました。よく見ると知った人ばかりです。そこで、
「おいおい、あれじゃ。モーエじゃなか、たしかに弟じゃ」
と人びとをなだめました。そこで今度は、
「弟が生きておったどう。弟がもどったどう」
と人びとは大喜びで村中にふれ歩きました。石塚孝一氏によると、やがて弟が家にもどってみると、いちはやく弟の帰りを知った兄は腹を切って死んでいました。
「なしけ死んだか。死なんでもよかったものを。」
弟は兄の死がいにとりすがって泣きました。
その後、弟は兄の財産を全部うけつぎ、兄が山からつれてきた女と夫婦になって、一生を安楽にくらしましたそうな。
そんほさのむかし。